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「俺にそんな過去なんかねえよ! そんな痛いヤツじゃねえんだよ!」
……。
つばさちゃん、俺はゾロリなんか読まねえとか言って、シャーロック・ホームズ読むふりしてたことあったよね。
あの時は大人だなあって思ってたけど、今考えると可愛い背伸び。
「ダメだろ雷門! 風磨がかっこつけ野郎なのはわかりきったことだろ!? 池亀相手にヒーロー気取りしてたじゃん!」
穂村もハラハラしながら響たちを見守っている。響はさらに励まし……いや追い討ちをかけた。
「でもさ、個性派気取れるのっていいことだと思うぜ! 本当に個性があったら辛いことも多いからな!
風磨は胸張って、過去なんか気にしないで堂々と……」
「うるせーな! いい話風にしてんじゃねえ! もう話しかけんな!」
カンカンになりながら、風磨は行ってしまった。響はしょぼくれながら私たちのところへ。
「わかってもらえなかった……」
「あれじゃただの嫌がらせだろ! お灸を据えた方がいいとは思うけどさ」
穂村は褐色の腕を組んだ。
「あの性格じゃ、孤立するのも時間の問題だろ。でも根本に何があるかわからないと、どうにもできないよな」
根本。氷川や響にもあった、きつい態度の根っこにあるもの。
「アプローチはミスったけど、雷門のやり方は嫌いじゃないよ俺。スカッとさせた後も人生は続くからな」
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