相手を選ぶ風の子

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「俺が晴明高校生だった時の話なんだけどよ……更衣室が段ボールでいっぱいで使えなかったんだよ」  じゃあどこでジャージに着替えるわけ? 「俺たち廊下で着替えさせられてさー。恥ずかしかったよ。教室は女子が着替えるからって追い出されて」 「ゴミみてえな学校だな! 潰せやクソが!」 「レナが通ってる学校なんだよな……。  でも空蝉(うつせみ)……ノイズ先生が段ボール全部出してくれてさ。あれは痺れたね」  そっか、ノイズ先生って昔から頼りになる人だったんだ。 「空蝉は『人として当然だ』って言ってた。でも俺にとっては最初の第一歩なんだ」  わかる。ノイズ先生も鈴音も穂村も加賀も、私にとっても第一歩だった。 「世の中捨てたもんじゃないなって、その時思ったわけよ。俺はそんな瞬間を増やしたい。  だから強くありたい。まあこんな感じだな」  うん、増やしてる。可憐もそう。響は頷いた。 「ありがとうございます。よし、これを機会にアレ完成させます!」    電撃で体を刺激して、体力にバフかけるんです。まだ未完成なんですけど……。  おお。それなら雷属性相手でも善戦できる。みんな色々考えてるんだな。  私もロックのアドバイス通り、オリジナル異能でできることを増やさないと。  やや離れたところで、穂村が鈴音相手に火炎放射している。穂村は言ってたな。スカッとさせた後も人生は続くって。  ロックは今度は穂村の指導へ向かった。響はポツリ。 「人助けって難しいな……」
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