相手を選ぶ風の子

6/6
前へ
/78ページ
次へ
 ロックンロールが長髪をなびかせて参上した。袖のない革ジャンにえんじ色のパンツ。  手にはいくつもの指輪をはめている。  痛い……でもやらなきゃ。私は氷川の氷で捕まえようとするが、手元が狂ってしまう。  異能師のコスには痛みや衝撃を和らげる機能がついている。でもそれでも痛い。 「レナ!」  この声は風磨。そして響と穂村も風に乗ってやってきた。    私は負傷。響と穂村の異能は使えない。風磨の風だけじゃ……。 「うまくいくかわかんねえけどやるぜ!」  響の微弱な電撃が、体に流れ込んでくる。どうやら全員の体を強くした様子。 「じゃあ俺は風の壁作るわ」  ノイズ先生の爆発セミも、風磨の風でブロック。すると先生たちは逃げようとするが。  風磨は風の進行方向を自由自在に操り、先生の行く先々に逆風を吹かせた。あとは捕まえるだけだ。  私と穂村は手錠を取り出し、先生たちを取り押さえた。腕力のない私だけど、今は響のおかげで力が強くなっている。  見事、私たちは勝利した。 「やったな!」  穂村は晴れやかな顔。響も嬉しそう。でも風磨は無表情だった。  宿舎に戻る最中、響がポツリ。 「善意押し付けてごめん。オレも思い上がってたよ」 「……別に。仲良くもねえのに、俺のことなんか知るわけねーしな」  聞かせろよ。レナと何があったんだよ。風磨は響に問いかけた。  
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加