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嫌われ者とわかった時
「オレ、レナと同じ中学で……まあ同じような扱い受けてたな。1人でいるのが好きだったけど、そういうヤツってバカにされんじゃん」
夜の山林は、暗い自然の匂いがする。
「じゃあ俺も優しくすりゃよかったな」
響の予想通りだ。言わない相手を選んでるって。つばさちゃんは弱いものに優しかった。
響は鈴音たちとも仲良しで、異能も強くてかっこいい。何も知らなければ弱いものには見えない。
「悔しいから異能師になって見返そうと思って、晴明高校に来た。それからもオレぼっちだっただろ。
でもノイズ先生が、そのままじゃ連携できねえぞって」
足に草が絡み付いてきた。
「その時声かけてくれたのがレナ。あとは穂村と、加賀と、鈴音。他のヤツらとも仲良くなれた」
「清々しいほど光堕ちしてんな。どういう心境の変化だよ」
風磨の問いかけに、響は微笑んだ。
「詳しくいうと長くなるけど……1人が好きだからって、人間を嫌いになる必要ねえってわかったから」
そろそろ宿舎だ。他のみんなはどうしてるかな。
「お母さんにも色々話したら、めっちゃ喜んでてさ。なんだかんだオレのこと心配してたっぽいし」
「お父さんは?」
「あー……小さい頃に離婚したっぽい。でもたまにメールしてるよ」
「そうかよ。雷門って、なんだかんだ自分に自信あるよな」
石を踏みつけたのか、誰かの靴の裏が変な音を立てた。
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