嫌われ者とわかった時

2/6
前へ
/78ページ
次へ
 宿舎の明かりが向こうに見えるのに、前に進めない。全員立ち止まっている。 「他人に貶されても自分を変えねえのは、自分に自信があるからだろ。レナたちに出会う前からそうだったんだろ。  だから簡単に立ち直れたんだよ」  そう。響は1人でいる自分は好きだった。学校で貶されて自信をなくしてたけど、でも根幹までは失ってなかった。 「それに……友達だと思ってたヤツらに裏切られたこともねえんだろ」  月明かりだけが頼りの山林に、風磨の声だけが聞こえる。 「昨日の夜、バレー部のグループチャットに同窓会の写真が送られてきたんだよ。俺以外全員揃ってた。  数分したら消えたよ。間違えて送ったんだな」  かと思えば、風磨は大股で歩き出した。 「俺さ、自分が嫌われ者だって知らなかったんだわ。バカみてーだよな。  だって今までずっと友達いたし、喧嘩してもすぐ仲直りしてたしよ」  追いかけているうちに、宿舎の駐車場に到着だ。街灯が眩しすぎる。まだ誰も戻っていない。 「ノイズ先生の言う通りだな。すでに破滅してたわ。レナにも嫌われて当たり前だよな」  なんで言いたいことを言っちゃいけないんですか。風磨はノイズ先生に悪態ついてたよね。  そのツケを、昨日の夜払わされたんだ。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加