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宿舎の明かりが向こうに見えるのに、前に進めない。全員立ち止まっている。
「他人に貶されても自分を変えねえのは、自分に自信があるからだろ。レナたちに出会う前からそうだったんだろ。
だから簡単に立ち直れたんだよ」
そう。響は1人でいる自分は好きだった。学校で貶されて自信をなくしてたけど、でも根幹までは失ってなかった。
「それに……友達だと思ってたヤツらに裏切られたこともねえんだろ」
月明かりだけが頼りの山林に、風磨の声だけが聞こえる。
「昨日の夜、バレー部のグループチャットに同窓会の写真が送られてきたんだよ。俺以外全員揃ってた。
数分したら消えたよ。間違えて送ったんだな」
かと思えば、風磨は大股で歩き出した。
「俺さ、自分が嫌われ者だって知らなかったんだわ。バカみてーだよな。
だって今までずっと友達いたし、喧嘩してもすぐ仲直りしてたしよ」
追いかけているうちに、宿舎の駐車場に到着だ。街灯が眩しすぎる。まだ誰も戻っていない。
「ノイズ先生の言う通りだな。すでに破滅してたわ。レナにも嫌われて当たり前だよな」
なんで言いたいことを言っちゃいけないんですか。風磨はノイズ先生に悪態ついてたよね。
そのツケを、昨日の夜払わされたんだ。
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