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「部活でいじめられてたのか?」
穂村の問いかけに、風磨は首を振る。
「特にそういうのはねえ。割と平和な学校生活送ってたつもりだったわ。嫌われたのも自業自得だろ」
ふと昔の記憶が蘇る。加賀と映画に行った時、絡んできた中学時代の男子。
水沢も仲間内で嫌われてたっけ。あいつが風邪で休んだ時、ホームルームで歓声を上げるヤツが結構いた。
しかも水沢とつるんでる連中。
あいつは風磨と違って言う相手を選んでいた。でも嫌われてるのに友達がいたところが似ている。
狭い世界では、好感度以外のパラメーターが作動する。虫籠が壊れれば真っ先に切り捨てられる。
だからノイズ先生は説得してたんだ。世界が広がれば広がるほど、破滅に向かうから。
「これからだろ!」
私より先に響が励ました。
「なんていうか……クソ発言したのはムカつくけど、一応良心があることは知ってるし……」
「慰め方も下手なんだな雷門は」
「そうじゃねえよ! もしオレがレナと同じ過去があるって知ってたら、優しくしてくれたかもなんだろ?
オレはそういうヤツを嫌いになれねえかも……」
でも可憐たちにも優しくしろよ。響はモゴモゴと締めくくった。
「良心はあるよな。ぶっちゃけ俺の悪口言わなかった理由、ハーフを差別しちゃいけないって思ってるからだろ」
穂村は褐色の手で風磨の肩を叩く。
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