嫌われ者とわかった時

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「ノイズ先生はあたしが捕まえたかったのに!」  鈴音の不満が露天風呂にこだまする。まっすぐな足がお湯に沈んでいた。 「昨日のレナちゃんのシャンプー、すっごいサラサラになったよ」  筋肉質な足を上げ下げする可憐。それはよかった。 「オレの電撃バフ、意外といけるな」  響の小さい足がチャプチャプ。  夜間訓練の後はすぐにお風呂。私はチョウチョを出してみた。 「風流〜!」「綺麗!」「いい眺めだな」  山の匂いが気持ちいい。すると仕切りの向こうから男子たちの声が。 「夜間訓練きつすぎんだろ……俺たちいつ自由時間あんだよ」  これは加賀の声だね。 「頑張れよ、加賀」  これ……風磨の声? 「は? どういう風の吹き回しだコラ」 「うっせーな! なんの意味もねえよ!」 「どうせ池亀に嫌われたくねえからなんだろ。風カス野郎が!」  やめろ! 喧嘩すんな! うるさいんだけど! やっちまえ! 他の男子たちの声もする。 「ちげえよ! レナだけじゃねえ、みんなに嫌われたくねえからだよ!   今日から俺はクソ野郎を卒業するんだ!」  男湯が静かになった。 「クソの自覚あったんだな」 「一応は反省した。頑張って治すわ」 「ふーん。でも上辺だけ取り繕ってもあとで失敗するよ。なんで自分がクソになったか、ちゃんと振り返ってみなね」  氷川もアドバイスしている。  つばさちゃん、ちゃんと変わろうとしてるんだ。    
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