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校庭で友達と走り回っている小学生が、夕暮れのチャイムを聴いてランドセルを担ぎ出すように。
1日中遊んでいるように見える大海原で泳ぎ回る魚も、いつかは帰っていく場所があって。
心地よい時間を過ごした後、するすると去られて取り残される私は、彼にとっては遊び場ではあっても、住み家じゃない。
私の知らないどこかに住み家があって、そこはきっと温かい朝を迎えられる場所なんだ。
玄関のドアを閉じようとする彼を見ては、諦めと不安を抱えて笑顔で手を振る私。
カタンと鍵をかけると、さっきまで賑やかだった部屋を、静寂と陰が満たしていく。
私の住み家は、どこにあるんだっけ。
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