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彼の手からスマホをさっと取り上げ、彼の唇を目がけて顔を寄せた。
勢いによろける彼を、そのままリビングのソファに押し倒す。
「……睦海?」
「今日くらいはいいでしょ」
途端の私の行動にびっくりしたのか、戸惑いの表情を浮かべる彼。
私が彼のことをわかっていないように、彼も私のことをわかってないのかもしれない。
私だって私のことをわかっていなかった。
私の気持ちは、もうとっくの昔にどうしようもないほど焦げてこびりついてしまっていたんだ。
「あの日みたいに、朝まで一緒にいてよ」
彼の胸元に顔を埋め、1個、2個、3個と、唇で首筋に紅い跡をつけていく。
捕まえた。
電気を消した真っ黒な空間に、炎が勢いよくゆらめいた。
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