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話の糸が繋がった彼と私は、翌日も、次の週も、同じ居酒屋の同じ場所で肩を並べて時間を共にした。
そのうちに場所がおしゃれなイタリアンになり、夜景のきれいな海辺のフランス料理店になり。
肩を並べていたのが、二人だけの席で向かい合うようになり、二人だけの空間で抱き合うようになり。
まな板の鯉のように導かれ、二人で夜を潜り朝に顔を出した日。
先に目を覚ました私はまだ寝息を立てて眠っている彼の身体をそっと指先で触れてみる。
朝冷えの部屋の中で触れた生肌は温かさを通り越し、じゅうと焼けるように胸の奥を焦がしていく。
あったかい。
彼の瞳が開くまで、離れないように肩に腕をまわした。
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