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 そう言うと二人とも驚いたように「蛍くん!」と言った。どうやら僕の存在を認識していたらしい。 「君が蛍くんか。よく美奈絵から話を聞いていたよ」 「やっと会えて嬉しいわ、蛍くん。もしかして毎年花を手向けてくれていたのは……」 「僕です」  すると二人して「ありがとう」とハモッた。母親の方は少し涙ぐんでいるようにも見える。 「そうか、思い出した。君、美奈絵の葬式の時に……」 「あ、お恥ずかしい。すみません、葬式の場であんなみっともない行動を取ってしまって」  僕が泣き叫んだことを二人ともよく覚えていたのかお互いの顔を見て微笑んだ。 「そうか、君だったんだね。すごく印象的でね、葬式の後に家で話してたんだ。あんなに美奈絵のことを想ってくれてた友達がいたなんて」 「そうだったんですか……」 「私たちは全然迷惑だなんて思ってないわ。むしろ嬉しかった。ありがとう、蛍くん」  何だかそう言われてしまうと、僕は泣きそうになった。僕は静かに首を横に振り、川を眺めた。 「そうだ、蛍くん。もし都合が合えばだけど、僕たちの家に来ないかい? 丁度お昼時だし、一緒にお昼を食べながら美奈絵の話をしよう」 「いいんですか?」 「勿論だよ、美奈絵もきっと喜ぶ」  お母さんもこくりと微笑みながら頷いてくれた。僕は「じゃあお言葉に甘えて」と言い、二人の後をついていった。
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