2024年8月11日 居酒屋にて 20代男性(サラリーマン)

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「昔、中学でさ、すごいいじめあったじゃん?」 「あ……あー。あれね。虫食わせたりしてた奴」 「最後とかさー、ケツ掘って動画撮ったりさ」 「え!? そんなことしてたの!? ……うわ……うわぁ……」 「そっか、お前クラス違ったもんな」 「まーね。で、そいつ結局どうなったんだっけ?」 「学校来なくなったまでは知ってる」 「ありがちだな」 「じゃあ、今頃ニートか生活保護かもな」 「うわー。俺らの払った税金で養いたくねぇ」 「つーかそんな話、居酒屋ですんなよ」 「ごめんごめん。でもさ、気になったんだよ」 「はぁ。もう十年以上前の話だろ」 「だってほら」  そう言って、男は居酒屋の壁に設置されたテレビを指さした。 『歪んだ愛情の果てに~市立××中学校いじめ事件の真相に迫る~』 「××中ってうちの学校じゃん」 「そうだよ」 「え、じゃあもしかして……」  テレビの中、緊張感を帯びた顔の司会が、ゆっくりと口を開いた。 「なぜ、糸川 優希(いとかわ ゆうき)君は死ななければならなかったのか。凄惨ないじめ……男同士の歪んだ愛、孤独、絶望。今夜はその謎に迫ります」  軽快な音楽が流れだし、カメラが引いて会場全体を映した。出演者は皆、神妙な面持ちで座っている。そのミスマッチさが少しおかしかった。 「この番組は、皆に希望を届けたい。ハッピー☆ハッピーフレンズの提供でお送りします」
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