2024年10月11日 バス停にて 10代女性(学生)

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「あ、うん。ママ。今から帰るから。うん、分かった。じゃーね」 「アンタのママ、過保護すぎ。ウケる」 「だべ。くっそうぜーし。もう高ニやぞ」  学校が終わって家に帰り、ご飯を食べてすぐ塾に行く。塾が終わるともうすぐ十時で。でも、私たちは若いからまだまだ遊びたかった。でも、遊ぶお金なんてないし、ママやパパに怒られるのも嫌だった。 「家帰るのだる」 「わかるー」 「あ、バス来た」 「バイバーイ」 「バイバーイ」  友達に手を振ってバスに乗り込むとスマホを取り出し、イヤホンを差して動画投稿サイトを開く。 『ヤバすぎるガチホモサイコパスのインタビュー ××中学校いじめ事件』  テレビの切り抜きか。あんまりこういう悪趣味なのは好きじゃないけど、学校の先生を目指している身としては、いじめのことは知っておきたい。対処することになるだろうし。  私は、動画のサムネイルをタップした。 「ムカついたんです。いや、エロいとは思いましたよ。家に帰ったら毎日糸川でシコってたし。でも、何でいつも俺がしゃぶらされるんだろうって。みんなに笑われるのがムカついて。だから」 『色季(しき)さんは、糸川(いとかわ)さんに、暴力を振るうようになったそうです』  ナレーションが流れる。 「ちょっと小突いたり、教科書とか靴を隠したりしてました。最初は。自分がやられてたことをやり返してました。でも、ある日××(プライバシーのためピー音をかぶせております)君にパンツ脱がされて、カッとなって」 「その子を殴ったんですか?」 「いや、近くにいた糸川を殴りました。軽いから結構吹っ飛んで、頭打って血が出たんですよ。それがすごいエロくて」 「はぁ……」 「それで、その日はいじめられなかったんです。その次の日はいじめられたんですけどね。そのとき気づいちゃったんですよ」 「それが、糸川さんをいじめるようになったきっかけだったと」 「はい。だんだんエスカレートしていきましたね。だって、俺はいじめられないし、みんな喜んでくれるんだもん。四人ぐらいで囲んで殴ったり、川に落としたり、ゴキブリ食わせたり」 「糸川さんは不登校になったそうですが、そんなひどいいじめをされたら不登校になりますよね……」 「いや、来てましたよ。普通に」 「え?」 「だってアイツ、虐待されてるとかで学校来ないと飯食えなかったんです」 『いじめ被害者の糸川は、虐待されていて大人に助けを求めることができなかった』  とナレーションが流れる。 「アイツが学校来なくなったのはがネットに流出したからですね。いやぁ、あんなのAV堕ちと変わらないですよ。生きていけないって」 「そ……そうですか」  動画の内容はショッキングで放送できないので、割愛します。とナレーション。 「最後に質問です。出所したら何をしたいですか?」 「そりゃあもちろん、糸川に会いに行きますよ! また×××して××××をケツ×××に×××してぇ~~~!!」  私は胸糞の悪さに吐きそうになりながら、低評価ボタンを押した。
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