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「あ、うん。ママ。今から帰るから。うん、分かった。じゃーね」
「アンタのママ、過保護すぎ。ウケる」
「だべ。くっそうぜーし。もう高ニやぞ」
学校が終わって家に帰り、ご飯を食べてすぐ塾に行く。塾が終わるともうすぐ十時で。でも、私たちは若いからまだまだ遊びたかった。でも、遊ぶお金なんてないし、ママやパパに怒られるのも嫌だった。
「家帰るのだる」
「わかるー」
「あ、バス来た」
「バイバーイ」
「バイバーイ」
友達に手を振ってバスに乗り込むとスマホを取り出し、イヤホンを差して動画投稿サイトを開く。
『ヤバすぎるガチホモサイコパスのインタビュー ××中学校いじめ事件』
テレビの切り抜きか。あんまりこういう悪趣味なのは好きじゃないけど、学校の先生を目指している身としては、いじめのことは知っておきたい。対処することになるだろうし。
私は、動画のサムネイルをタップした。
「ムカついたんです。いや、エロいとは思いましたよ。家に帰ったら毎日糸川でシコってたし。でも、何でいつも俺がしゃぶらされるんだろうって。みんなに笑われるのがムカついて。だから」
『色季さんは、糸川さんに、暴力を振るうようになったそうです』
ナレーションが流れる。
「ちょっと小突いたり、教科書とか靴を隠したりしてました。最初は。自分がやられてたことをやり返してました。でも、ある日××(プライバシーのためピー音をかぶせております)君にパンツ脱がされて、カッとなって」
「その子を殴ったんですか?」
「いや、近くにいた糸川を殴りました。軽いから結構吹っ飛んで、頭打って血が出たんですよ。それがすごいエロくて」
「はぁ……」
「それで、その日はいじめられなかったんです。その次の日はいじめられたんですけどね。そのとき気づいちゃったんですよ」
「それが、糸川さんをいじめるようになったきっかけだったと」
「はい。だんだんエスカレートしていきましたね。だって、俺はいじめられないし、みんな喜んでくれるんだもん。四人ぐらいで囲んで殴ったり、川に落としたり、ゴキブリ食わせたり」
「糸川さんは不登校になったそうですが、そんなひどいいじめをされたら不登校になりますよね……」
「いや、来てましたよ。普通に」
「え?」
「だってアイツ、虐待されてるとかで学校来ないと飯食えなかったんです」
『いじめ被害者の糸川は、虐待されていて大人に助けを求めることができなかった』
とナレーションが流れる。
「アイツが学校来なくなったのはあの動画がネットに流出したからですね。いやぁ、あんなのAV堕ちと変わらないですよ。生きていけないって」
「そ……そうですか」
動画の内容はショッキングで放送できないので、割愛します。とナレーション。
「最後に質問です。出所したら何をしたいですか?」
「そりゃあもちろん、糸川に会いに行きますよ! また×××して××××をケツ×××に×××してぇ~~~!!」
私は胸糞の悪さに吐きそうになりながら、低評価ボタンを押した。
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