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穏やかな日曜日の午後のリビング。
テーブルに手をついてイスから立ち上がろうとした時、ダンナが私の横を通った。なんか樟のう…昔々のタンスの匂いが一瞬してなんにも考えず思わず横を通りすぎたダンナに声を掛けた。
「なぁ、なぁ、ヒロさん」
「なんや?」
「あの…ヒロさんからなんか臭い匂いする」
「えっ?俺?汗臭い?」
「ううん。違う。あんな、なんかヒロさんから樟のうの匂いがすんねん」
「えっ?樟のうの匂いって、あの昔々のタンスの?」
「うん」
「ナフタレンみたいなあの臭い匂いのことか?」
「うん」
ダンナの質問にダンナの顔を見ず、調子よく返事をしていたら、声音が変わっていて、はっとして顔を見たら…顔色も変わっていた…。
(やばい)と思ったけど、ここまで言ってしまったら最後…勇気を出して…勇気を出して、視線をダンナの肩甲骨に固定をして、笑顔で確信を伝える…お伝えしてみる。
「ヒロさん…これって…あの、もしかして…加齢臭と、ちゃう?」
お伝えしたあとダンナの顔が怒り狂っていたのが視界のはしに見える…私のタマシイが口から避難していく…。
「はぁー?加齢臭?俺が?俺、まだそんな歳とちゃうでーっ💢何言ってんねん💢💢なんや?もしかして、俺に喧嘩売ってるんかーっ💢💢💢」
嫌な予感的中…ダンナ見事ぶちギレました…。不幸中の幸い…私の脳ミソは現実逃避をせず、辛うじて、働いてくれていた。
「ちゃうねん、ちゃうねん💦💦喧嘩なんて売ってへん。今すれ違った時匂ったし、素直に言っただけやん」
「ほんならなにか!?俺は、臭いもん呼ばわりか!!」
「いや…あんな…ちゃうちゃう💦💦いや…あんな…家族以外の人やったら『臭い』なんか誰も言ってくれへんで?ヒロさんが嫌な思いしたらアカンって思ってお伝えしたんやけど…」
顔色を見ながら声はフェードアウトしていく…。
「……」
無言で(こっっわっ😨)で無表情で(こわっこわっ😨)私の顔を2~3秒じっと見てから一言…「あとでちょっと出掛けてくる…」とぼそっと不機嫌そうに言ってリビングから出ていった。
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