『枯れ専じゃない』ことを証明するため、女子高生は『先祖の記憶、遺伝する説』を推す。

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 翌日の昼休み。  弁当のおかずをつまみながら、梨々はニコニコ顔で玲香に訊ねた。 「ねえ。昨日、おじいさんに会ってみてどー思った? すごく感じの良いおじいさんだったでしょ?」 「うーん、そーねー。確かに、すごく雰囲気の良い人だったね! あーゆー人を、『老紳士』って言うのかもねー」  わざと大きな声で返事すると、玲香は廊下側の後ろから二番目の席を、チラリと窺う。  そこは真人の席だった。彼は、一切こちらを見てはいなかったが、購買で買ってきたらしいパンを片手に持ったまま、微動だにしない。  全神経を耳へと集中させ、こちらの会話を聞き取ろうとしているのだろう。 「フフッ。気にしてる気にしてる。昨日のあれが効いてるわね」  玲香が満足げにつぶやくと、梨々はキョトンとして小首をかしげる。 「玲ちゃん? 何が効いてるの? 『昨日のあれ』って?」 「キッシッシ。いーのよ、気にしなくて。こっちの話だから」  口元に片手を当て、含み笑いをしてみせる玲香に、梨々はたちまち顔をしかめ、『ヤダなぁ。気味悪い笑い方ー』と不満を漏らした。  玲香はコホンと咳払いし、 「まーまー。アタシのことなんかより、老紳士の話をしましょーよ」  満面の笑みを浮かべ、昨日の話の再開を促した。
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