『枯れ専じゃない』ことを証明するため、女子高生は『先祖の記憶、遺伝する説』を推す。

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 昼休み。  梨々と玲香は、いつものように机をくっつけ、お弁当を食べながら談笑していた。  話題は、今朝の続きだ。  いや。続きと言うより、今朝、梨々が話そうとして話せなかったことについて、と言った方が正確か。  玲香は、卵焼きを口元へ運ぶ手を途中で止め、 眉間にシワを寄せて首をかしげた。 「はあ~? 昨日、公園でチラッと見掛けたじーさんにときめいちゃったぁ?……アンタ、いつから枯れ専になったの? 愛しの幼馴染はどーすんのよ、捨てるの?」 「捨てないよ!!――ってか、捨てるって何よ捨てるって? 拾ったことなんてないし、拾われたことすらないんだから、その言い方はおかしいでしょ!」  梨々は箸を握り締めながら抗議し、玲香は『やれやれ』といった風に肩をすくめる。 「だって、『昨日ね? 公園のベンチに座ってるおじいさんがいたんだけど、その人を見たとたん、ビビビッって、体に電流走るみたいな感覚がしたの』なーんて言い出すからさ。『小川くんからじーさんに乗り換え? 梨々、枯れ専だったのかー』って、思っちゃったワケよ」 「乗り換えないよ! カレセンでもな――っ、……んん? 〝カレセン〟ってナニ? 割れ煎なら知ってるけど」  卵焼きを咀嚼(そしゃく)して飲み下すと、玲香はフッと口元をほころばせた。  まるで、『なんだ、そんなことも知らないのか』とでも言いたげだ。  梨々は内心ムッとしたが、こんなところで口論になっては、朝の二の舞いだ。グッと堪えた。
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