『枯れ専じゃない』ことを証明するため、女子高生は『先祖の記憶、遺伝する説』を推す。

6/17
前へ
/17ページ
次へ
「えーっと、だからね? 私はこう考えたの。そのおじいさんを見たのは、昨日が初めてだったし、顔が好みだったワケでもない。なのにときめいた。ものすごーく。ビビビビッって電流走っちゃうくらい。これっておかしいよね?」 「うん、まあ。おかしいっちゃ、おかしいかな?」 「おかしいわよ。好みでもないのにときめくなんて。私が、すぐ誰かを好きになっちゃう恋愛体質だって言うなら別だけど。昔から真人くん一筋だし。彼以外、好きになったことないし!」  ここが大事だと言わんばかりに、梨々は机をバンバン叩いて主張する。  玲香は『ハイハイ』とうなずき、親友の話を黙って聞いていた。  興奮冷めやらぬ様子で、 頬を紅潮させた梨々が、次いで放った言葉は。 「だからこれ、私の気持ちじゃなく、過去の人――先祖の記憶が、関係してるんじゃないかと思うの!」  両手で机を叩いて締めくくると、梨々は得意げに胸を張る。  玲香は、じいっと梨々の顔を見つめていたが、やがて、マグボトルをおもむろにつかんだ。グイッとお茶を飲み干し、ふうっと息を吐く。  再び梨々に視線を戻し、ジト目で一言。 「何それ?」 「えーっ? だから、先祖の記憶よ! わっかんないかなー?」  親友の素っ気ない反応に、梨々は不満そうに唇をとがらせる。  玲香はマグボトルをバッグにしまい、机横のフックに掛けると、さらに冷めた目を梨々に向けた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加