『枯れ専じゃない』ことを証明するため、女子高生は『先祖の記憶、遺伝する説』を推す。

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「先祖の記憶って何? ワケわかんない」 「私だってわかんないけど! でも、そうとしか思えないんだもん。タイプでもない人見てときめく理由が。遺伝とか、先祖の記憶が絡んでるとしか、思えないんだもん!」 「いきなり遺伝とか先祖の記憶とかって考えるアンタが、一番ワケわかんないって。普通は、『ああ。アタシ、こーゆー趣味もあったんだな』ってなるでしょ? そっちの方が、遺伝だの何だの意味不明なこと言い出すより、よほど自然よ」 「だって! 真人くん一筋のこの私が、他の人にときめくなんてあり得ない! 太陽が西から上るのと同じくらい、あり得ないんだってば!」 「自分が心変わりしたと考えるより、先祖の記憶がどーのって考える方が、まだ現実味があるってこと?」 「そう! そのとーりっ!」  梨々は胸の前で両手を握り締めながら、何度もうなずく。  玲香は深々とため息をつき、椅子の背もたれに寄り掛かると、足を組んで、再び梨々をジト目で見据えた。 「じゃあ、先祖の記憶が、遺伝子情報だかに組み込まれてるとして、よ? そのじーさん、もしくは、じーさんのソックリさんだかにときめいた先祖ってのは、誰なのよ? 見当ついてんの? じーさんにときめいたってんだから……もしかして、アンタんちのばーさん?」 「そんなの、わかるワケないでしょ。仮にそうだとしても、正解かどうかなんて確かめようがないし。ばあば、三年前に亡くなってるし」 「あ~、そっか。そーだったっけ」  思い出したように、玲香は両手を打ち合わせた。
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