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 その夜、本郷と通話した。 「大変そうだね。私は関係ないけど」  あっさりと彼女は言った。 「だといいけどな。確かにうちのクラスはいじめみたいなものはないけど……」 「私は最初から輪の中にいない。あいつらがどうやって、私を傷つけたり汚したりできるっていうの?」 「いや、それはそれでどうなんだ」 「私がつきあう人間は私が決める。いちいちゴミカスと付き合ってたら、私は一生あのごみ溜めから出られない。それに、いざとなったら物理で殴るだけのことだよ」 「物理?」 「一人か二人病院送りにすればいい。集団の力を頼んでいても、痛みは個人のものだ」 「やめろやめろ、高校行けなくなるって」 「ああ、そうか。じゃあ、親のとこの誰かにやらせるよ」 「それも推奨しない」 「あんたらの生き方はめんどくさすぎるんだよ」  そうかもしれない。  そのあと、いくらかくだらない話をして電話を切った。  そうして何事もなく、夏休みになった。  
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