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「ふーちゃん、見て見て」
ルカくんから柔らかな笑顔を向けられて、一瞬戸惑ったけれどすぐに後悔した。
「珍しい昆虫図鑑!」
「うえっ」
あまり凝視したくないものを見せられて顔が歪む。
ルカくんも海くんと同じで雪斗と幼稚園の頃からの付き合いの幼馴染。
金髪碧眼で物語の中の王子様のような容姿なのに大の昆虫好きなんてギャップがありすぎる。
「そういうの買うためにモデルやってるって知ったら女の子たちドン引きするよ……」
ルカくんは趣味である昆虫関連の物を買うためにモデルをやっているらしい。
虫嫌いなルカくんのお母さんからはバイト代で買うのはいいけれど、本物だけは家で飼わないでくれと言われているので本で我慢しているんだとか……。
「ん?」
綺麗な顔で首を傾げられても、もう慣れてしまっている私はなんとも思わない。
ルカくんが話を逸らそうとするときに向けてくるキラキラモードの表情には私は騙されない。
「ふーちゃん、眉間にシワ寄ってる。可愛い顔が台無しだよ」
砂糖を吐くような言葉もさらりと言ってしまうルカくんも海くんほどではないけれど、女たらしだ。
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