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えー……意地悪してるの間違いじゃなくて?
顔が至近距離にあるので、変に暴れることもできない。
無駄に整った顔だけど、私には極悪な笑みを浮かべているようにしか見えなくて残念ながらときめけない。
これで女の子にだらしなくなくて、意地悪じゃなかったら完璧なのに。
「あ、もしかして早速気になる男子でもできたー?」
思いもよらない言葉が海くんから飛んできて驚く。
「はあ?」
「ええ!」
少し遅れて雪斗とルカくんの大きな声が左右から聞こえてきて、耳が痛い。けれどようやく海くんの手が頬から離れた。
「……なんでそうなるの」
ふと頭に過ぎったのは隣の席の男の子。
マスクをしていて曇ったメガネ。おとなしそうで、でも妹思い。
さすがに会った初日に恋はしていないけれど、あんなお兄ちゃんは羨ましいなと思う。
目の前にこの三人がいると、余計に比べてしまう。
……妹思いなお兄ちゃんがほしい。
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