恋した相手は、

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「……俺のこと気になってるとか言って他の男と遊びに行くんだー?」 「うっ……それは、その、体育祭のリレーで一位とったら遊ぶって約束で」 「末永って、ふゆのこと好きな男でしょ」 普段とは比べものにならないくらい海くんの声が冷たくて、血の気が引いていく。 約束と、気になる相手、どちらも大切で私の頭の中がプチパニックを起こしかけていた。 「まあ、ふゆは俺の彼女じゃないんだもんなー」 「あの、海くん……」 どうしよう。この状況って、どうするべきなの!? 「まあでも、いいよ」 頭を抱えたくなる気持ちで混乱していると、海くんの声が少しだけ柔らかくなった。 「帰りに俺のところに来てくれるなら」 「えっ」 「だってさ、俺も約束したでしょ?」 〝俺とも一度くらいふたりでデートしてよ〟 〝さっきの男子が一位取ったらさ、俺ともどっか出かけるってことでさー〟 海くんがバイクで迎えにきてくれた日、確かに私は約束した。 「でも放課後に遊んで、そのあとってあまり時間ないのにいいの?」 「いいよ。ただ会って安心したい」
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