152人が本棚に入れています
本棚に追加
海くんと会う約束をして電話を切ると、美歩がにんまりと微笑む。
「冬菜、顔赤いよ」
「う、うそ」
「幸せそうな顔しちゃってー!」
からかわれるように言われて恥ずかしくなってくる。
私、どんな顔をしながら喋っていたんだろう。
「あのさ、思ってたんだけど……冬菜って」
美歩がなにかを言いかけたところで、再び電話がきた。表示された名前を見て、今度は顔を顰める。
「うげっ! 雪斗から電話だ」
「一秒でも早く出ないと!」
……一秒でも遅く出たい。
そんな言葉を飲み込んで渋々と通話を押すと、不機嫌そうな雪斗の声がした。
「おい、おめー海から聞いたぞ」
「えっ」
「なんで美歩連れてくんだよ。ひとりで行け」
「なっ! それは自分で本人に言いなよ!」
海くんが雪斗に伝えたのは、多分雪斗が誰を好きなのか知っているからだろうけど、なんで私に電話してくるんだか。
「断れ。ぼけ」
「ぼけは雪斗だと思う」
「あ?」
最初のコメントを投稿しよう!