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美歩に電話して行くなって言えば、きっと美歩は行かないんじゃないかな。
その場合私はちょっと困るけど、でもそこは美歩の意思を優先したい。
「意地でも行くな!」
「だから、それ私じゃなくて本人に言って! ヘタレ!」
「てめっ」
一方的に電話を切って、ふぅっと一息つく。
だいたいなんでいつも自信満々なのに美歩に対してはそんな消極的なんだろう。
「今日はいつも以上に荒ぶった電話だったね」
「美歩、雪斗はぼけでヘタレだよ」
「そうなの? でもどんな雪斗くんも推せる」
美歩がブイサインをしてウインクをしてきた。
……だめだ。
まだ食べ終わっていないお弁当を食べていると、美歩が「あのさ」と少し躊躇ったように話を切り出した。
「さっきの話の続きだけど……冬菜ってもう海くんのこと好きだよね?」
「……へ?」
私が、海くんを、好き?
気になると自覚したばかりで、まだ頭の中がいっぱいいっぱいのため、自分の感情に今はついていけていない。
「だって、もう好きってわかりやすいくらい顔に出てたよ」
「う、うそ!?」
「まあ、海くんと会って話せば自覚するのかな?」
芽生えた感情についていけていない私に対して、美歩の方が私の感情を理解しているように微笑んだ。
「大丈夫だよ。きっとすぐにわかるはずだから」
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