152人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく話し込んでいた私たちは、「そろそろ帰ろうか」と久保くんの一言で我に返った。スマホを見ると、海くんからは連絡は来ていない。
遊んでいる場所は伝えてあるけど……会う時間は決めていないままだ。もう解散するところと短くメッセージを打ち込んで送っておく。
これから海くんと会うの緊張するな。
エスカレーターを下り、ショッピングモールの総合受付のところに着くと、人目を引く二人組が目に止まって顔が引きつった。
かなり注目が集まっていて、遠巻きに女の子たちが見ているのがわかる。
「町田さんのお迎え?」
「え……あ、」
ひとりはそうだけど、ひとりは何故いると言いたい。
偉そうに腕を組んだ雪斗は私を睨みつけてくる。
「あの人、町田さんと少し似てるね」
「あれ、兄なんだ」
すると末永くんではなく、久保くんが何故か反応を示して雪斗と私を見比べる。
「まじで!? 町田さんってモデルの雪斗の妹!?」
まさか、久保くんが雪斗のことを知っているだなんて……。
久保くんが雪斗に「握手してください!」と言うと、不機嫌そうだった雪斗の表情が緩む。
……チョロすぎる。
今絶対同性にも好かれてること知って、舞い上がってるでしょ。
最初のコメントを投稿しよう!