恋した相手は、

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体を傾けたことによって、膝が当たる。 距離が縮まり、身を引こうとすると逃すまいと海くんの手が私の腰へと伸びてきた。 「信じられない?」 「私、海くんってずっと遊んでるって思ってたから……」 今だって私への触れ方が手慣れているように思える。 でも海くんは耳が赤くなっていて、余裕がないのは表情から伝わってくる。 「ふゆ以上にかわいいって思う女の子がいなかったし、俺はいつふゆに彼氏ができるのかってひやひやしてた」 そんな姿、正直今までは想像がつかなかった。 でも目の前の海くんは真剣で、縋るように私のことを見てくる。 「……じゃあ、海くんは今まで彼女できたことないの?」 「ないね。ふゆ一筋だから」 最近の海くんは甘すぎて、優しすぎて、私の思考回路をぐちゃぐちゃにしていく。 私一筋だったと言われて、嬉しくないはずがない。
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