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「遅くなる前に帰ろうかー」
「ま、待って! あの」
立ち上がろうとする海くんの服の袖を掴んで引き留める。
「私……っ」
心臓がバクバクとして、顔が熱くて、言葉が思うように喉を通らない。
ダメだ、なんて言おう。
どうしたら海くんに伝わる?
私がもらった嬉しいって気持ちを海くんにも返したいのに。
「……き、」
夜風が前髪を持ち上げる。
「ん?」
優しく微笑み、言葉の続きを待ってくれている海くんを見上げながら———
「好き」
自覚した想いを音にして、目の前の海くんに告げる。
どんな反応をされるのかと緊張しながら返事を待っていると、海くんはぽかんと口を開けて硬直してしまった。
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