恋した相手は、

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「だったら、海も対象外だろーが! イチャつくな!」 「海くんだけは、別!」 海くんの後ろから顔を覗かせて、べーっと舌を出す。 私の言葉に一瞬だけ静まり返る。 「あー……もー……ふゆ、不意打ち禁止!」 海くんを見上げてみると耳が赤い。 「おめーら、今後家でイチャついたらアイス一個ずつ贈呈しろ」 「あっはは、海が照れてる!」 そんな姿を見た雪斗が顔を引きつらせながら文句を言っていて、何故かルカくんはお腹を抱えて笑っている。 「ほら、ご飯になるから手伝ってー!」 キッチンからお母さんの声がして、ルカくんがすぐに我に返りスマートにお母さんの手伝いを始めた。 「失恋した雪斗も手伝いなさい」とお母さんから叱られた雪斗は「失恋してねーよ!」と返しながらも、渋々といった様子でお茶碗の用意を始める。 「ふゆ」 お皿を並べる私の横で海くんがこっそりと声をかけてきた。
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