恋をするなら彼ら以外

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「冬菜は?」 「え?」 突然話題を振られて思考が追いつかず、目をぱちくりとさせる。 「この中で誰がタイプ?」 だ、誰がタイプ!? なにこの拷問! どの人も嫌だ! とも言えず、口元を手で隠して考えるフリをする。 「雪斗くん?」 「え……と」 それ私の実の兄です……。 大人や女子たちの前では猫かぶって優しい人のふりをして、裏では妹をこき使う口が悪い雪斗は私の兄。 この人がタイプなんて絶対ありえない。 「それとも海くん?」 どことなく漂う色気に大人びた雰囲気を持っているけれど、私をいじめるのが趣味で女遊びばかりしている海くん。 こういう人がタイプなんて絶対ありえない。 「あ、もしかしてルカくん?」 ハーフで王子様みたいな外見なのに中身は子どもっぽくて天然で、虫好きなルカくん。すぐ昆虫図鑑とか見せてくるし、珍しい昆虫展行こうとか爽やかな笑顔で誘ってくるルカくんは、王子様とはかけ離れすぎている。 「ええっと……」 この中から選ぶなんて……できるはずない。どの人も選びたくない。
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