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「え、いいの?」
掠れているけれど、少し驚いた様子の声だった。必要としてくれているみたいだ。
「助かる! 久保の見せてもらったけど、眠かったらしくてなに書いてあるか全くわからなかったんだ」
久保って、あの久保くんだろうか。
同じクラスで早くもムードメーカーの男子で、女子からもかっこいいと言われている。
落ち着いている末永くんと、賑やかな久保くんに関わりがあるのは意外だ。
早速書き写そうとした末永くんがカバンからノートを取り出すと、ピンク色のなにかがぽろっと床に落ちた。
「落ちたよ?」
ピンク色で丸い物を拾い上げると、うさぎの顔の編みぐるみだった。
「え……」
「あっ!」
慌てた様子で末永くんが私からウサギの編みぐるみを奪い取る。一瞬の出来事だったけれど、私の目にはしっかりと焼き付いてしまった。
「……見た?」
「かわいいね。ウサギ」
素直な感想を口にすると、何故か末永くんは頭を抱えてしまった。
「……終わった」
「終わった?」
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