恋をするなら彼ら以外

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かわいい物を持っていたことを見られたことがそんなにまずいことなのかな。 確かに驚きはしたけれど、そこまで気にすることじゃないのに。 「……キモいでしょ。男がそんなの作ってるなんて」 「え、あのウサギ、末永くんが作ったの?」 見たのは一瞬だったけれど、売り物だと思った。 そのくらい精妙な作りだった。もしかして作るのが趣味なのかな。 「……そうだよ」 「すごい!」 思わず前のめりになって興奮気味に末永くんに顔を近づけると、末永くんは硬直している。 マスクで顔が隠れていて、メガネも曇っているのでよく顔が見えないけれど、驚いているのかもしれない。 「売り物みたいだった! あんなにクオリティ高く作れるの尊敬する!」 私もアクセサリーやぬいぐるみ作りにはまったことはあるけれど、あんなに上手くは作れない。どうやったら作れるのか教えて欲しいくらいだ。 「妹が欲しがったから、本見て作っただけだけど……」 「凄すぎるよ! いいなぁ。妹のためにあんなに可愛いもの作ってくれるお兄ちゃん」 あの兄じゃ、絶対作れない。というか作ることすらしてくれないはずだ。 末永くんみたいな妹思いなお兄ちゃんが良かった……。 「……引かれるかと思った」 「羨ましいくらいだよ。うちの兄はそういうこと一切してくれないから」 こき使ってきたり、意地悪してくることならたくさんあるけど。 溜まりに溜まった兄への愚痴を末永くんに漏らすと、時折おかしそうに肩を揺らして笑ってくれた。 この人となら隣同士仲良くやっていけるかもしれない。 そう思うとこれからの学校生活がますます楽しみになってきた。
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