恋をするなら彼ら以外

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「冬菜」 オレンジジュースをグラスに注いで自分の部屋に行こうとすると、雪斗が私の名前を呼んできた。 「アイス」 たった一言。 それだけで思い通りになると思っている。……今日も腹たつ。 「自分で取りに来れば」 「俺が取りに行ったら、お前が楽しみにとって置いてるチョコレート大福アイス食うけどいいわけ?」 「なっ!」 「お前が取ってきたら食べねぇけど」 ……こういうところが本当嫌! でも私のチョコレート大福アイスを守るためには仕方ない。 「〝アイス〟じゃなくてさ……とってきてくらい言えないの」 せめてもの抵抗をしてみたけれど、雪斗に鼻で笑われる。 「とってこい」 「なんで命令口調なの!」 たった一歳上なだけ。それなのに雪斗はいっつも妹の私をこき使う。 苛立ちながらも雪斗にモナカアイスを差し出すと、当然のように受け取った。不敵な笑みに更にイラっとする。
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