黒い私

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「電気を消して。」 "わかりました" 彼の声で部屋の電気が消える。 彼の家にあるスマートスピーカーが、この後何が始まるかを教えてくれる。 いつもと同じ。 彼はゆっくりと私を脱がしていく。 1枚ずつ脱がされる度に、露出した部分から鳥肌がたつ。 「寒い?」 「んーん。大丈夫。」 「暖房つけて。」 "設定温度25度で暖房を起動します" 「いいって言ったのに。」 「それは、これから暑くなるから?」 冗談混じりに言った彼は、最後のホックを外す。 「手慣れすぎてて興奮しないんですけど。」 「お前のは外しやすいんだよ。」 「どうせ、私の胸は大きくないですよ。」 「でも感度はいいじゃん。」 彼が私に舌を這わせ始める。 中央をあえて避けながらゆっくりと おへそから鎖骨 鎖骨から首筋 耳の中 水分をたっぷり含ませた舌は 暗い部屋で私の身体を白く輝かせる。 「また、ほくろばっか。」 彼のおかしな性癖。 私は人よりもほくろが多い。 当然比べる対象はいないのだが、昔からの私のコンプレックスだ。 顔に手足に背中に胸に、至る所にほくろがある。 彼はその一つ一つに、前戯と称して丁寧なキスをする。 「綺麗だよ。」 口づけの合間に彼が言う。 本当に、ひどい。
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