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 じゃあ達也は?わたしのことを強いと言う達也はどうなの? 「達也は弱いの?」  わたしは気になっていることを達也に聞いた。  わたしの質問に達也が、うっ、と唸って顔をしかめる。それから暫く眉間に皺を寄せていたけど……  ふーっ、と溜息を一つ吐くと、観念したように話し始めた。 「ああ、弱え〜よ。俺は。だから、不良なんかやってる。周りの奴だってそうさ。不良やってる奴なんて、みんな弱え。虚勢を張って強がってるだけさ」  自虐的な笑みを浮かべて達也は、わたしを見つめた。 「不良なんてやめなよ」  わたしは達也の目を見返して、はっきりと伝えた。 「周りに迷惑なんか掛けてないで、強くなりなよ」  何だかかなり偉そうなことを言っている気がした。自分のことを棚に上げて、何言ってんだろう、とも思った。  だけど、達也に不良をやめて欲しかった。
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