24人が本棚に入れています
本棚に追加
5
じゃあ達也は?わたしのことを強いと言う達也はどうなの?
「達也は弱いの?」
わたしは気になっていることを達也に聞いた。
わたしの質問に達也が、うっ、と唸って顔をしかめる。それから暫く眉間に皺を寄せていたけど……
ふーっ、と溜息を一つ吐くと、観念したように話し始めた。
「ああ、弱え〜よ。俺は。だから、不良なんかやってる。周りの奴だってそうさ。不良やってる奴なんて、みんな弱え。虚勢を張って強がってるだけさ」
自虐的な笑みを浮かべて達也は、わたしを見つめた。
「不良なんてやめなよ」
わたしは達也の目を見返して、はっきりと伝えた。
「周りに迷惑なんか掛けてないで、強くなりなよ」
何だかかなり偉そうなことを言っている気がした。自分のことを棚に上げて、何言ってんだろう、とも思った。
だけど、達也に不良をやめて欲しかった。
最初のコメントを投稿しよう!