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デート
――――さて、本日は街に来ております!海からの潮風が乗ってきて、独特の南国の空気に包まれたアンティクワイティス公爵領の海辺の街は活気に満ち溢れている。
俺とルカたんは地元に溶け込むようなラフな格好にお着替え。
涼し気なシャツにゆったりとしたズボン。日焼けをしないように、薄手の長袖だけどね。他にも麦わら帽子をかぶせられた。日焼けしないように顔全体を布で覆われそうになって、さすがにそれは遠慮したけども。あはははは。
「わぁ、市場にあんなにたくさんフルーツがあるよ!」
種類も色も豊富である。目移りしてしまいそう。
「あぁ、この時期は特に出回るからな。他の地域から来るものもある」
「へぇ、すごーい!」
ルカたんと腕を組みながら、街歩き。ルカたんの外見はイケメンなのでもちろん目立つものの、俺たちがしっかり腕を組んでいるからか悪戯に声を掛けてくるようなものはいない。もしかしたら陰ながらついて来ている護衛に間引かれているのかもしれないが。
それでも、護衛騎士たちの計らいで、2人で穏やかに過ごせている。
「いくつか買って帰ろうか」
「うん!」
さすがは南国と言ったところか。パイナップルやシードラゴンフルーツ、マンゴーなどのフルーツも種類が豊富で!地球では見たことのない色のものまである!
他にもシーライチや南国レモン、グレープフルーツなどが並んでいる。
「ルカたんはグレープフルーツは平気?」
「あぁ、大丈夫だ」
「じゃぁ、シャーベットにしてもいいかも!」
俺はパイナップルやグレープフルーツなどを購入し、ココナッツミルクや黒糖なども手に入れた。お菓子作りの幅が広がりそうでウキウキする!
「リュリュが楽しそうで良かった」
「だって、ルカたんと一緒に街歩きなんて、楽しくないはずないじゃん!」
「そうか、私と一緒か」
ルカたんが優しく微笑んでくれる。
わぁ、眼福なりや!
「うんっ!」
俺も嬉しい~!まさか今生でこんな素敵なデートが楽しめるなんて!異世界さまさま、ルカたんさまさまである!
「そうだ、護衛騎士たちのみんなや、別荘、実家のみんなにもお土産買って行こうよ!」
「そうだな。護衛騎士や別荘の者には、そうだ。パン屋で何か買わないか?」
「うん、いいかも!」
「実家にはこちらのフルーツを送ってはどうだ?配送サービスも充実しているんだ」
さすがはリゾート地!サービスが違う!あ、ウチの領地でも参考にできないかな?帰ったら父さんに話してみよう!楽しみがまたひとつ増えたなぁ。
その後街のパン屋さんで差し入れのパンを仕入れて配った。もちろん別荘のみんなへの分もある。その中でも。
パイナップルパン。
見た目は楕円型のメロンパンである。
「パイナップル味じゃぁないんだ」
「まぁ、形だけだな」
「でも、美味しいし、目でも楽しめるかもっ」
何となくメロンパンとは異なるパイナップルパンも、なかなか新鮮であった。外側はサクサク、ナカはふんわり。うむ、おいひぃっ!
他にも黒糖を使ったパンやフルーツミックス果汁パンなどもあり、パンを配った護衛騎士みんなも喜んでくれた。地元出身の騎士もいるらしく、彼のおススメのカフェでひと息つくことにした。
「こっちのフレーバードティー、おいしいね」
フルーティーな香りが際立っている。
「あぁ、土産用にも人気なんだ」
「母さんやアンズが喜びそうだなぁ」
「この店ではオリジナルのフレーバードティーが買えるのだそうだ。いくつか買って帰るか?」
「うん、そうする!」
他にもカフェおススメの季節のフルーツケーキなどもいただき、お腹も気分も大満足!
そして最後に立ちよった広場には……。
――――想像通り、若かりしころの母さんの銅像があったのだった。
「さすがはそっくりだな」
「う、うん」
ははは……と苦笑してしまう。
因みに周りからちらほらと注目を集めているのは俺が銅像のモデルの母さんに似てるから……?いやいや、ルカたんがイケメンなお陰かもしれないし……。
でも、とにもかくにも楽しいデートだったことは、言うまでもない。
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