春季休暇

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春季休暇

俺の試験対策集で無事に試験を乗り切ったアンズとアーサー。ゼナはいつも通り普通に合格ラインを通過。俺とルカたんも高順位をゲットした。1位は何と編入してきた第2王子のハヤトさま。やっぱり頭いいって本当なんだ。2位はルカたん。めちゃすごっ!お祝いに刺しゅう入りのサシェをプレゼントした。 3位はリーディアさま4位が俺だった。学年全体で座学が4位!今回もがんばったー。俺は実技がてんでダメなので、座学を頑張っているのだ。 因みに実技はハヤトさまとアンズの接戦だったのだとか。寸でのところでハヤトさまが勝ち、王族としてのプライドを死守した形だったのだとか。 俺は条件付きの回復魔法の増幅スキルだからなぁ。 まぁ、無事にみんな試験もパスし、レポートも提出し終えて合格点をもらえた。あとは春休みを迎えて学年末の1年お疲れさまパーティーをこなせば2年次は全て修了である。 ……さて、その春休みこと春季休暇なのだが。 俺は今、ルカたん家・アンティクワイティス公爵邸に来ております。 まず、屋敷がでかい。敷地が規格外に広い。ウチの伯爵家も前世の知識からすれば十二分に大きいのだが、こちらは桁違いである。 「わぁ、すごっ」 「どうだ?気に入ったか?」 と、俺をエスコートしてくれるルカたん。 「も、もちろん!すごい、探検楽しそうだね!」 「探検?ふふっ、そうだな。探検か」 え?何か変なこと言ったかな? そして本日は家にいる宰相閣下ことお義父さんと王弟のお義母さんにご挨拶。 「あぁ、待っていたんだ。リュリュくん」 「春季休暇の間は、ウチでゆっくり過ごしてね」 「はい!お世話になります!」 「今日からまた暫くリュリュとずっと一緒だ」 そう言って、ルカたんも満足気な様子だった。 使用人のひとたちも親切だし、あ、ヴィダルさんに手を振ったら振り返してくれたし。何だかうまくやっていけそう! でも、ヴィダルさんに手を振ったらルカたんがちょっとヤキモチを妬いていて微笑ましかった。 俺は客間を用意されると思ったのだが。 「ここは私の部屋だ。ここで一緒に過ごそう」 何故か案内されたのはルカたんの寝室。そ、そうだよねー。伯爵邸でもそうだったもん。どうやら、ルカたんのお部屋で過ごすことは決定事項のようだ。まぁ、俺もルカたんは大好きだから嬉しいのだけど。 『わぁ、この部屋も結構広いやんけ』 『ベッドちぇっくーっ、ぽっふぽふー』 『ええ飛び跳ね加減やないけ』 と、俺にくっついてきたちびリューリューずは早速ルカたんの大きなベッドでぽふぽふとトランポリンごっこをしていた。 「あ、ごめんルカたん」 「いや、顔が全部リュリュだから、見ているだけで和む。リュリュもやっていいぞ」 「えぇっ!?」 地球の日本で言えば高2の春休みである。とてもじゃないがやる勇気はない。 「冗談だ」 「あは、そうだよね」 「半分はな」 半分は本気だったのぉっ!?驚愕の事実ではあるが。でもルカたんに促されてベッドの端に腰掛ける。やがてメイドがカフェラテを持ってきてくれて、ルカたんと一緒に仲良く脚を休めながら、春季休暇の予定を話し合う。 「そうだ、探検がしたいのだったな」 「あ、いやー、それは迷惑になるから!」 「そんなことはない。どこへ行きたい?」 「じゃぁ、ルカたんの好きなところ?」 「そうだな。私の好きなところは……リュリュのナカだな」 昼間っから何言ってるのー、ルカたんっ!探検って、俺のナカの探検と違うよ!? 「あ、厨房とか、いいかな?お菓子作りとか、やっても怒られない?」 「怒るものなどいない。早速厨房に話を通しておこう」 「わぁ、ありがとう。ルカたん!」 ルカたんはもちろん、義理の両親にもご馳走しよっと。 後はルカたんと過ごしながらゆっくりと決めていこうかなぁ。 春季休暇はまだまだ始まったばかりなのだから。
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