ティータイム

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ティータイム

―――翌日。俺はお義母さんこと公爵夫人にお茶に誘われていた。 「リュリュちゃんがお菓子作りが趣味って聞いて、楽しみにしていたんだ」 「そ、それはありがたいです!」 お菓子のお供は朝食後の午前中、厨房の一郭を借りて作ったクッキーとサツマイモパイだ。 「む、私だって」 そして、お義母さんの正面に俺と並んで座るルカたんが不満げにお義母さんにそう告げれば。ふふっとお義母さんが苦笑する。 「嫉妬深いところは本当にシーザーにそっくり」 シーザーとはお義父さんこと、ルカたんの父親で宰相の名前である。 「そ、そうなのですか」 あのむっつりめな美麗な公爵が。いや、顔そっくりだし、十分あり得るか。 「今日も、リュリュちゃんとルカとお茶をするって言ったら、2人だけずるいってごねちゃって。危うくリュリュちゃんのお父さまのヒューゴさんに怒られちゃうところだったかも」 と、さらりと言うが、宰相補佐である父さんは、上司のお義父さんよりも最恐な存在なのだろうか。最近、そう思い始めている。 「ねぇ、リュリュちゃん。ウチはどう?」 「えっと、その。とても過ごしやすいです。お義父さんもお義母さんもよくしてくれて、屋敷のみなさんもみんな親切ですし。それにルカたんと一緒にいられるのが一番……あ、これは当然ですよね。ルカたんの実家なんだし」 「リュリュ!今すぐベッドに連れ込みたい!」 ふえぇっ!?ルカたん!? 「ふふふ、すっかりべた惚れだね、ルカ」 「当たり前だ。リュリュにべた惚れしないなんて私のプライドが許さない」 「シーザーと同じこと言ってる」 えええぇぇぇっっ!?マジで!?さすがは父子。見た目もそっくりだしね!まさか中身まで! 「今年からは3年生だし。リュリュちゃんがウチにお嫁に来てくれるのがとっても楽しみかも」 「お、お嫁っ」 そ、そうだよね。貴族の子女はだいたい学園の卒業と共に結婚するから。ルカたんと言う婚約者がいる俺も自ずと結婚することになる。 ――――つまりは、お嫁に行くわけで。 ――――ぼふっ。 「あれ」 と、お義母さん。 「リュリュっ!」 そしてルカたんに即抱きしめられる俺。 「やっぱり、今から、ダメだろうか」 「えええぇぇぇっっ!?まだ陽も明るいし!」 さすがに今からはっ。 「え?青姦なら昼間にもやるでしょう?もちろん夜闇に紛れてもいいけど」 お義母さ――――っん!?そのマル秘知識は一体いぃぃっ!!? 「ん、青姦も、いいな。だが、リュリュのかわいい姿を人目に付かせるのはアレだから、魔法で結界を張らねば」 「そうそう」 こらこらこらー、母子で何つー会話をっ! 「リュリュ、今日は青姦にしないか?」 ちょっ、ルカたんったら。今からデートに行かないか?みたいな軽いノリで誘わないでー(泣)。 「その、やっぱり明るいうちは、ちょっと。あと、できればベッドの上で」 「そうなのか?なら、我慢する」 「う、うんっ!」 取り敢えず青姦の危機は脱したのかな?? 「でもあんまり我慢させると、溜まっちゃうから大変だよ?」 えええぇぇぇっっ!?お義母さん、その忠告は一体!?そう言えば、初めての時もめっちゃ精力旺盛だったような。 いや、俺のスキルの影響もあるのだろうけど。うぅ、精力旺盛なルカたん。ルカたんとやるのは気持ちいいんだけど。でも精力旺盛か。 「じゃぁ、今はこれだけ」 そう言って、ルカたんの頬にちゅっと口づけを贈れば。 「リュリュ!」 感激したような双眸で見てくるルカたん。そして。 んちゅぅっ めっちゃ、情熱的に唇を奪われた。 「もう、ラブラブなんだからぁ~」 と、お義母さんの声が聞こえ、ハッとなる。 ――――そう言えば、今、お義母さんの前だったぁ――――っ!!!
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