卒業とその後

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卒業とその後

――――3月。 俺とルカたん、そして学友のみんなは、ハリカ嬢たち在校生に祝福されながら学園を卒業した。 そしてみんなのその後を紹介しておこうか。 まず、アンズはアーサーと結婚し、アーサーは父さんの下で仕事を学び始めた。アンズは魔法師団に入団し精鋭として活躍している。 ゼナは婚約者のヴィダルさんと結婚し、その後はヴィダルさんと同じくアンティクワイティス公爵家に雇われ騎士となった。俺がルカたんと外出できない時は必ず付き添ってくれるルカたん公認の護衛も務めてくれる。 ヴィクトリオはあの俺へのいちゃもんを吹っ掛けた件でルカたんが大激怒。さすがにこれ以上俺に付きまとうならば看過できないと宰相であるお義父さんも進言してくれたそうだ。まぁ息子のルカたんの嫁になる俺に王子が付きまとうとか看過できないよね。 そして王族籍から抜かれたヴィクトリオは、今後も改心しない可能性の方が高く、また王族であることからも王位継承問題にならないよう離宮で生涯幽閉となったのだった。 更には、ハヤトさまが王太子として立太子し、学園卒業と共にリーディアさまと結婚して2人で手を取り合って公務に勤しんでいるのだとか。 現在2年生になったハリカ嬢はと言えば、健全にお婿さん探しに勤しんでいるらしい。いいひと、見つかるといいなぁ。 ――――そして、俺はと言えば。 「お帰り!ルカたん!」 「あぁ、ただいま。リュリュ!」 魔法師団に入団したルカたんは、毎日魔法使いとして国のために働いている。俺は公爵邸でデイルお義母さんに公爵夫人としてのお仕事を学びながらルカたんにいってらっしゃいとお帰りのハグ&ちゅーをするのが日課となっていた。 そして、俺たちがこうなので。 「ほら、シーザーも」 「あぁ、デイル」 たまに一緒に帰ってくるシーザーお義父さんとデイルお義母さんもラッブラブでハグ&ちゅーをしております。 何だか恥ずかしくもあったんだけど。 「ん、リュリュ、今日も嬉しい」 ルカたんに抱きしめられてたら、何か全部どうでもいいような気がしてくるんだよねー。うんっ! 最近手紙で知ったんだけど、何故か実家の両親までこれをまねているらしくって。全くもう。あっちもあっちで溺愛性なんだから。多分、お互い両親から遺伝したんだろうなぁ。 そしてみんなで一緒にダイニングに向かうのであった。 ――――寝室 「そう言えば、ルカたん。ちびリューリューずのこと、やっぱりわかんないね」 俺も卒業後、王城の書庫に出入りして調べてはいるものの、未だに謎である。 『ぽーたんはぽーたんじゃき』 と、俺の目の前にひょっこり現れたぽーたん。 「ん、そうかも」 そう言ってぽーたんのほっぺをちょんちょんしてあげれば、わぁ、ぽーたんからのお返しちょんちょんー。 「むっ、ぽーたんだけずるいぞ」 どこに嫉妬したのか、ルカたんにもほっぺをちょんちょんされる俺。全く、ルカたんったら。思わず苦笑が漏れる。 『わてもやるー』 『わしも』 あ、他の2匹もでてきた。ヤチヨたんとぬんたんである。てか、一人称いつの間にそんな達観した感じになったの? 「そう言えば、このフローリア王国の古い言い伝えを聞いたんだ」 「言い伝え?」 「あぁ、フローリア王国の名前の由来は知っているよな」 「うん、花が溢れる肥沃な土地だったから、そう名前がついたんでしょ?」 以来、家紋に花があしらわれた家系が多いように、この国の人々は花を大切にしてきたのだ。 「大切にされてきた花に、花の精が宿るという古い言い伝えがあるらしい」 「えっ、てことはちびリューリューずって、牡丹の花の精とか?」 『多分妖精さん的なー?』 『ぼたんぼたん、くるくる~』 『まぁ、ええやないの。平和なら』 真相は、ほんにんたちも知らないっぽい。 「でも、何だかそれだと嬉しいな。俺の実家もここも牡丹に縁のある家系だもん」 「確かにな。運命的なものを感じる」 「きっと、そうだよ」 ルカたんと出会えたのも、ちびリューリューずたちが俺たちを見守ってかわいくわちゃわちゃしているのも。 「これからも、ずっと一緒だ。ずっとずっとリュリュを愛し続ける」 「うん、俺だってルカたんをいつまでも愛してる」 『『『わぁ―――』』』 ちびリューリューずたちにパチパチと拍手を送られながら、俺たちは甘く濃厚な口づけを交わすのだった。 (完)
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