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リュリュの幸せ
―――翌朝。
朝が、来てしまった。
あぁ~~~~っ!朝、朝だぁ――――っ!
「学園に行ったら、きっとまたルカたんに会えるんだよねっ!それは嬉しいけど緊張してドキドキしてどうにかなっちゃいそう~~~~っ」
「――――ほう?どうなってしまうんだ?」
……へ?
突っ伏した枕から顔を上げれば。そこには妖艶な微笑を浮かべる、る、るるるるルカったああぁぁぁぁんっっ!?
ひぇー。ルカたんだ!ルカたんが、そこにぃっ!!きゃ――――っ!!!(※歓喜の声)
「でも、何で!?」
「婚約者なのだから、見舞うのは当然だ。安心しろ。今日はずっと一緒だ」
ほへ?ずっと一緒??
「バカ王子のせいで心身ともに辛いだろうから、今日は私がずっとリュリュを安心させるためにここにいてあげる」
「でも、学園は」
「少しくらいなら問題ない。原因のことを学園側に訴えたら、認められたよ。まぁ、あのバカ王子は謹慎処分をくらって当分学園には来ないけど」
ま、マジで!?アンティクワイティス公爵家のルカたんと婚約しただけで、そこまで!?やっぱり、王弟であるアンティクワイティス公爵夫人のおかげだろうか?ありがたやありがたや。
「スノーフレーク伯爵には許可をとった。当分は私もここで寝泊まりをしよう」
「え?こ、ここって、俺の部屋?」
しかも、当分って!?
「そうだ。ウチで休ませることも考えたが、慣れ親しんだ伯爵邸の私室の方が今はいいだろう?」
「ま、まぁ、そだね」
いくらルカたんのお家とは言え、公爵家である。連れていかれたら確実にその格の違いにガチゴチになってしまう。
「でも、婚前だよ?」
婚約は成立したとはいえ。
「リュリュは私と婚姻する以外の選択肢はないのだから、変わらない」
んなっ、何そのヤンデレ風味!ドキっとした!ゾクリとしたぁっ!!
「そうだ、リュリュが寝つきやすいよう、添い寝してあげよう」
え、添い寝……?
そう言うと、ルカたんが俺の隣に寝そべったぁ!?
ルカたんが、ルカたんが俺のベッドの上にいぃぃっ!?
「これで、安心して寝られるな」
そう言って、俺をその胸の中に抱きしめるルカたん。これ、逆にドキドキして寝られない~~~っ!ふえぇ~~~っ!?
「ん、リュリュ、早く夫夫になりたいな」
ひゃあぁぁぁっ!気が早いけど……夫夫……夫夫かぁ……。
夢見ないわけでもない。
「リュリュは……どう?」
「ふぇっ!?」
そう言うと、ルカたんが俺をぎゅむっと抱きしめてくる。
「伯爵から許可をもらったときにも聞いたが……リュリュの口からも、聞かせて……?」
そ……その……。
「うん……俺も、ルカたんの夫になれるなら……嬉しい」
「リュリュ……うん、幸せにするよ」
そう言って幸せそうに俺を抱き締めてくれるルカたん。
ルカたんの腕の中……。ふふ……っ。ルカたんの匂いがとても落ち着くんだ。だから俺も……幸せかも。
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