黒い影が行くところ

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 僕、蔦谷 紗薙(つたや さなぎ)は幼い頃から黒いモノが()えた。それが普通じゃないと知るのに時間はかからなかった。僕は早々に(かく)すことを覚えた。それが()ると(あらが)うほどの執着(しゅうちゃく)はなかったし、何とかしたいと困っているほどでもないし。そう、「あ、虫だ」という感覚に近い。ただ、周囲の人がわからないだけ。  ずっと、そんなふうに生きていくんだろうなって思っていた。あの日までは。ここで語るのは僕の考察と、出会いと、意識の改変の記録でもある。
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