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一年前とちょっと前……私が転校したのは、六年生の六月だった。
半端な時期の転校を多感な同級生たちにいぶかしまれ、私は遠巻きにされていた。
たまたま隣の席だった未宇が話しかけてくれたから、休みに会おうと誘ってくれたから、なんとかクラスで平穏に過ごせたのだ。
それこそ不安定な足場でも、立ち続けることができたのに。
未宇がかかった病気の名前はいまだにうろ覚えだけど、治療に一年かかり、場合によっては死ぬというのはすぐに覚えた。
転校してきてから未宇が入院するまでの数ヶ月、ずっと一緒に過ごしていたから、何をしていても未宇を思い出す。
一緒に通っていた通学路を歩いたり空席の机を見るたび、足元がふらつくのを踏ん張った。
メッセージを送るといっても、別に返信が欲しいわけじゃない。
私はここにいて、未宇のことをいつまでも待ってるよ。
そういう気持ちを伝えたかっただけなのに。
「とにかく、連絡を取りたいのは千波の都合でしょう。いま一番大変なのは未宇ちゃんなんだから、落ち着いたころに連絡しなさい」
なにを書こうかなんてお母さんに相談するんじゃなかった。
足元のぐらつきが大きくなるだけだった。
だから、今まで遠慮していた本音がこぼれ落ちたのだ。
「私と未宇はそんな冷めた関係じゃない! お母さんみたいにねぇ、なんかあったらすぐ離婚するみたいな、そういうのとは違うの!」
未宇がしんどいなら、今度は私が手をさしのべたい。
どこかに導けるわけでは無いけれど、されて嬉しかったことを返すくらいはいいじゃないか。
そうとしか考えられなかった。
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