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わたしの様子を見た黒猫は、合点がいったとばかりに手の平を上へ向けました。
「あなたには、直近のゲームの記憶しかありませんからね。覚えていないのも無理はないです。5年2組はずっと、クラスの仲間を私に差し出し続けてきたんですよ」
すました顔で黒猫は言います。その言葉通り、わたしは何も思い出すことができません。
思い出せないことはしかたありません。それより、わたしにとって大事なのはこれからのことです。
「教えて。次のハンカチ落としっていうのは、どうやったら始まるの?」
初めて身を乗り出したわたしに、黒猫は目を細めます。
「始まるタイミングは、この身体の持ち主……影になった彼女にかかっています。放課後の15時ちょうどに、教室の時計に影が入り込んだら次のゲームが始まります。5年2組のクラスメイトは、その時点で会場に飛ばされます。次の鬼が決まるまで、そこから出ることはできません」
わたしは思わず吹き出しました。つまり、ゲームを始めるかどうかはキイちゃん次第ということです。
それなら勝算はある。だって彼女は、ニブくてどんくさくて、わたしがいなければ何もできないのですから。
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