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 公園は、学校のプールくらいの大きさはあるものの、隅に小さな滑り台とブランコ、それに鉄棒が置いてあるだけで、あとはほとんど広場という簡素なものだった。その広場も、雑草が生い茂り、手入れがされている様子はない。    ブランコを背に設置されたベンチに、わたしたちは横並びに座った。黒いランドセルを抱きしめながら、サツキは小さな声で話し始めた。 「昨日、クラスの何人かで集まって、三角ベースをして遊んだんだ」 「そこで男子と喧嘩したの?」  サツキは首を横に振った。 「ううん。そうじゃなくて……三角ベースは楽しく終わったんだけど、その帰り、途中から若林(わかばやし)くんと2人になって」  それを聞いて、わたしの心はざわついた。 「駅前の通りを歩いてたら、ちょうどお父さんがコンビニから出て来て、わたしたちに気づいた途端、若林くんを怒鳴りつけちゃったの」 「どうして急に?」 「お父さん、わたしが嘘ついて、男の子とふたりで遊びに出かけたんだと勘違いしたみたい。前に、お母さんが出ていっちゃったって話したでしょ? あのとき実は、お母さん、他に好きな人がいたらしくて。それを思い出して、カッとなっちゃったんじゃないかな」 「それにしても……」 「最近お父さん、あまり調子良くなかったから。また仕事辞めたばっかりだったし……みんなと別れてすぐで、何人かは騒ぎに気づいて駆けつけてくれたんだけど、全然聞いてくれなくて。結局、コンビニの人が間に入ってくれたの」 「そう、なんだ……」
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