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幸い、その後、小学校を卒業するまで、サツキの父親が大きなトラブルを起こすことはなかった。
あの時、話し合っていた男子たちもサツキを非難したり除け者にしようとしていたわけじゃなく、ただ単に彼女のことを心配していたらしい。そんな優しいクラスメイトたちだから、サツキもきっと楽しい時間を過ごせたと信じたい。
サツキは小学校を卒業するタイミングでまた引っ越して行ってしまい、それからもう20年以上、一度も会っていない。SNSが広まってから、こっそり名前を検索したりもしたが、見つけることは出来なかった。
今頃一体、何をしているんだろう。
苗字が変わって、小学生の子供がいたりも、するんだろうか。
どんな形であれ、幸せになっていたらいい。いや、なっていなきゃおかしい。サツキのような善人が、幼少期に家庭環境であれほど苦労したんだから、将来素敵な伴侶と出会って幸せな家庭を築けないと、割に合わない。
けど、それならば──と、つい考えてしまう。
──わたしは何か、悪いことをしたのだろうか。
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