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 ソファーに寝転がって、携帯でランドセルについて調べてみると、確かに結構な値段がする。中には1万円を切るようなものもあるが、6年間使うことを考えたら少し心もとない。なるほど、独身貴族の出番というわけだ。  価格と同時に目についたのは、カラーバリエーションの多さだった。わたしが小学生のころは、黒と赤くらいしかなかった。けれど今じゃ、まるで色鉛筆のように多くの色が用意されている。そして男の子がピンクを選ぼうが、女の子が青を選ぼうが、自由なのだ。  思わず漏れかけたため息を飲み込ませたのは、画面に現れた女の子の画像だった。黒いランドセルを背負い、こちらを振り返って笑みを浮かべる少女。 『──リエ』  わたしの名前を呼ぶ声が、頭の中でこだました。
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