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転校初日の大人しさは仮初の姿だったようで、1週間もしないうちにサツキは明るく活発な素顔をのぞかせた。
彼女が最初に注目を浴びたのは、体育の授業で、その日は運動場でハードル走をしていた。
わたしも含め、体を動かすことが苦手な子たちが一つ一つのハードルを必死に跨いで行くのを尻目に、サツキはその長い脚で悠々と跳び越えていった。幼いわたしの目に映るその姿は、まるでオリンピック選手のようで、それはきっと他のみんなも同じだった。その証拠に、彼女が走り終わった瞬間、女子たちは黄色い声を上げて彼女のもとへ駆け寄った。
「すごい!」
「かっこいい!」
そんな賞賛を一身に受け、サツキは照れながらも白い歯をのぞかせていた。
サツキの運動神経は男子たちにも認められたようで、休み時間は彼らに混じってサッカーやバスケットボールに興じる姿が目立った。その俊足を生かして、場所やボールの確保にも一役買っていたらしい。休みの終わりを告げるチャイムが鳴るころにはよく、廊下から男子とサツキの笑い声が聞こえてきた。
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