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「おはようございます」
平日のあいだ、決まった時間にやって来るサラリーマンの男性が、いつものようにメロンパンとウインナーロールをトレイに乗せてレジに来た。
身長一五六センチメートルの私が軽く見上げるくらいの背丈の彼は、えらの張った顔立ちで、眉も太い。
彫りは深いものの、どこか野暮ったさを感じる出で立ちなのだが、
「いつもありがとうございます」
お釣りに続いて商品の袋を手渡すときの――
「どうも」
はにかむ笑顔が柴犬の子犬みたいで、うっかり私も目が垂れる。
「どうかしましたか」
私の顔を伺う男性の視線にはっとした。
「い、いえ何も」
伸びていた鼻の下を誤魔化すように、慌てて上唇を噛んで苦笑いを浮かべた。
レジカウンターの中から男性を見送る。
それからは、通勤電車に間に合わせるように足早にやってくるお客さんの会計を、時間に追われるようにして済ませていく。
彼の存在が細やかながら癒しになっているのは、鯨さんにも内緒だ。
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