第1話 ほたるの決意

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父がステアリングを左に切り、コインパーキングを出た。 大通りに出て、信号待ちをしている間、父は返事に困っているのか、黙りこくってしまう。 「ほたるが決めた事なら反対はしない」 「えっ」 「なんだ」 「あ、いや。なんでもない」   信号が青になり、再び動き出す。 見慣れた街並みが窓の後方に過ぎ去っていくのを眺めながら、背もたれに身体を沈めた。 「良かった。ま、そうこなくちゃね。私ももう二十歳なんだし。いつまでも子供扱いされちゃ――」   しまった。いまのは嫌味っぽかったか。
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