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「すべてを飲み込む色、フォーマルな色……様々なイメージを併せ持つ“黒”という色。最初に思い浮かべた“黒”は、何ですか?」
そんな風に尋ねられたら、迷わず答える。自分だと。
・ある日突然、世界中の海が黒く染まって以来、海から不気味な化け物が現れるようになり……。
黒く染まった海から現れた不気味な化け物たちのリーダーである私は、全員に上陸時の変装を命じた。地上の人間が私たちを不気味だと恐れるので、無用な衝突を恐れてのことだ。フォーマルな黒服を揃えるのは金がかかったが、それも必要経費だ――海の底の税務署が認めてくれなかったら窓口でカスハラしまくってやる。
どうして、そんなことをしなければならないのか? そんな面倒をしても、しなければならないことがあったのである。それは……続きを読めば分かる。
・突然現れた黒服の集団に囲まれた挙句、「お迎えに上がりました」と言われて!?
突然現れた黒服の集団のリーダーを名乗る青年は、私に「お迎えに上がりました」と言ったけど、あんた誰?
そう尋ねたら、その若者は、こう答えた。
「人助けをしたい。そう心から思っている人のお手伝いをしたいのです」
私は息を呑んだ。
・誰もが認める黒魔術の才に恵まれた私。けど本当は、白魔術で人を助けたくて……。
黒服のリーダーに、私は言った。
「白魔術で人を助けたいと、いつも心の底から願っています。ですが、私は誰もが認める黒魔術の才に恵まれているせいで、白魔術を使う機会に恵まれません」
私の言葉を聞いて、黒服のリーダーは頷いた。
「そんな方にお願いしたいのです。私たちは海の底で暮らす海底人なのですが、環境汚染が原因で海が黒く染まってしまって、困っているのです。あなたの白魔術で、海を綺麗にしていただきたく、お迎えに上がりました」
「そんなの、お安い御用よ」
とは言ってみたが、言うほど簡単ではなかった。作業は今も続いている。海の汚れを落とすホワイトニングの白魔術を掛けまくっても、それ以上の速さで環境汚染が起きているためだ。ちきしょう、面倒よ! いつ終わるのか、さっぱり分からんのよ! これを読んでいるなら、海を汚さないよう、気を遣って生活して! それじゃ、バイビー!
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