黒衣の苦労

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舞台では團九郎さん紛する童女があどけなく愛らしく踊っておられます。 両脇の侍が飾り幕を小道具にして踊っている間に、幕の陰で童女に袴をはかせ、上着を引き抜き、身体をかがめた瞬間に頭(カツラ)を取り替える。 飾り幕が落とされて、颯爽たる若武者の登場と相成ります。 ふぅ・・・最初の変化、うまく行きました。 脱いだ衣装を拾い集めて、コソコソと下手に退場し、次の早変わりの準備をいたします。 このような早変わりが、若武者から妖艶な熟女に、そしてむくつけき大男に、最後は恐ろしい毒蜘蛛へと変化していくのでございます。 衣装が替わり、役者さん方が見栄を切るごとに、大向こうから賑やかに声がかかっておりました。 早変わりに使う時間はそれぞれ1分弱。 5回の早変わりは、それぞれケレン味(奇抜さ)があり、お客様に楽しんでいただきつつ、一時間弱の出し物、華やかに幕を閉じることが出来ました。
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